中学校3年生に薦めたい本100冊vol.6 9月

一歩進んだサイエンスリーディング

とかく科学は難しい。
それを書いてある本も難しい。
しかしちょっとだけ
勇気と根気をもって踏み込めば、
そこには魅力的な
知の世界が広がっています。
中学校3年生に薦めたい
サイエンスリーディングの8冊です。

その1
「DNAがわかる本」(中内光昭)

遺伝子DNAの学び直しに
適しているのが本書です。
本書の特徴は「わかりやすさ」よりも
「面白さ」です。どこが面白いか?
それは生命の主体を
「細胞」に置いていること。
最近の知見では、
生命の主体は「細胞」1個1個であり、
生物1個体はその集合体であるに
過ぎないというのです。
著者はその立場を取り、「細胞の
身になって」DNAを解説しています。

その2
「新・天文学入門 カラー版」
(嶺重慎・鈴木文二)

教科書で重視されているのは
天体の運動のメカニズム、
つまり恒星や惑星の日周運動・年周運動
(1日・1年の星の見え方と
その原因)といった部分です。
しかし、好奇心旺盛な中学生が
知りたいと思うのは、
水星や木星、アンドロメダ銀河や
ブラックホールといった
天体の真の姿だと思うのです。
そうした子どもたちの知の欲求に、
十分に応えてくれるのが本書です。

その3
「これからのエネルギー」(槌屋治紀)

エネルギー問題は難しくてわからない。
そういう人にお薦めなのが本書です。
本書は「省エネルギーを進めながら
再生可能エネルギー100%を
達成していく」というスタンスで、
現在のエネルギー、それも電力の
将来像について書かれた一冊です。
前半は再生可能エネルギーの
技術と将来性について、
後半は原発問題や地球温暖化など、
環境問題との関わりについて、
丁寧に解説されています。

その4
「ご当地電力はじめました!」
(高橋真樹)

再生可能エネルギーによる発電施設は、
小規模であることが重大な欠点のように
捉えられていた時期がありましたが、
むしろ大規模発電の方が
エネルギー効率としては
無駄が多いのだそうです。
小規模な発電を
その地域にあった方法で行い、
それを組み合わせて
全体でバランスをとる。
それが必要なのだということに、
本書から気付かされるはずです。

その5
「生物とコラボする」(工藤律子)

プラスチックの普及は人間生活を
この上ないほど便利なものにしました。
軽くて丈夫であるという長所は同時に、
腐らず自然に還ることがないという
決定的な短所でもあるのです。
また、化石燃料から生みだされることも
問題となっています。
本書はそれらに対する
一つの解答としての
バイオ・プラスチックに焦点を当て、
その開発から現在の研究の状況について
詳細に解説されています。

その6
「バイオマスは地球環境を救えるか」
(木谷収)

これからのエネルギーをどうするか?
私たちが生きている
この先数十年だけでなく、
孫以降の世代まで視野に入れたとき、
どんなエネルギーが主流になるのか?
私たちの文明が
「持続可能」であるためには
エネルギーも「持続可能」なものである
必要があります。
その一つとしてのバイオマスに
焦点を当て、その研究開発の現状と
課題や問題点を解説したのが本書です。

その7
「図解 プレートテクトニクス入門」
(木村学・大木勇人)

現代では「大陸が動く」といっても
誰も驚かないでしょう。
でも、大陸が動く原理を理解するのは、
本当はとても難しいことです。
本書はその名の通り、
豊富な図をもとに大陸が動く
=プレートテクトニクス理論について、
わかりやすく講義しています。
しかも、大陸移動説の生い立ちから
最新の地震研究の成果まで、
幅広くかつ懇切丁寧に
説明されています。

その8:
「ゼロからわかるブラックホール」
(大須賀健)

宇宙を扱う内容は難しいのですが、
本書はそれを「難しい」と
感じさせないつくりになっています。
読み手に語りかけるような文章。
読み手を引きつける構成。
要所要所での豊富な図とチャート。
難しい理論をさも難しく
書き表した本の多い中で、本書は
読み手の立場に立ち、
とことんかみ砕いて、
イメージしやすいように
つくられてあるのです。

1は、細胞と生命についての
新しい視野が拓けてきます。
2は、写真が美しく
観ているだけでも
幸せな気持になれます。
3・4は、社会科学的な要素も含めて
エネルギー問題について
述べられています。
5は、最新の科学研究に触れることで
自然科学への関心が
高まると思われます。
6は、バイオマスについて知ることで
現代の環境問題について
考えが広がることでしょう。
7は、プレートテクトニクスから
地震の根本原因を考える一冊です。
日本人にとって必要な知見が
豊富に盛り込まれています。
8は、ブラックホールについて
その本当の姿に触れることができます。
宇宙男子・宇宙女子必読の書です。
それぞれ内容がやや難しいのですが、
資料も含めて情報を読み取る訓練として
最適のテキストばかりです。

子どもたちだけではなく、
大人の私たちももう一度
学び直してみませんか?

(2020.7.31)

愚木混株 Cdd20によるPixabayからの画像

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